プロゲーマー梅原大吾氏をご存知でしょうか。

日本初のプロゲーマーとして、「世界でもっとも長く賞金を稼いでいるプロゲーマー」などのギネス記録を3つ持っています。
名実ともに日本を代表するプロゲーマーです。

一方、プロブロガーのちきりん氏はご存知でしょうか。
元は証券会社などに勤めていたビジネスパーソンでしたが、いまはブログ一本で生計を立てている著名ブロガーです。
【読書】社会人におすすめの作家その3【キャリア戦略を考えよう】

一風変わった生き方で、かつ共通点がないお二人の対談本があると聞いて、早速読んでみました。

議論は多岐にわたり、「学校に行く必要はあるか?」ということから「人生論」まで、語り尽くされています。

学校で教えるべきことは?書評『悩みどころと逃げどころ』ちきりん&梅原大吾

学校に行く必要はある?

そもそも「学校に行く必要はあるのか?」。
このテーマに対して、いきなり2人の意見は対立します。

  • ちきりん:無理して行く必要はない
  • 梅原大吾:できるだけ行っておいてほうがよい

ちきりんさんはいわゆる「学歴エリート」。
一方、梅原さんは「毎日学校で寝ていた」人。

それなのに、両者の意見は逆になっています。

ただ、ここでの梅原さんの意図は、「大卒」という資格は持っておいたほうがよい、ということです。

学校で教えてくれる内容については不満だったようですね。(満足していれば寝てない)

今の学校で教えていること

「学校で教えてくれる内容が不満」だったのはちきりんさんも同じ。

では、今の学校では何を教えているのでしょうか?

具体的には、「自分で考えること」ではなく、「いかに早く正解にたどり着くか」しか教えてくれないと。

思えば、学校では「要領のいいヤツ」がちやほやされていたと思います。
「卒なくこなせるヤツ」とでも言いましょうか。

特に大学生の頃は私も、ラクして単位を取れる科目を探すことや、過去問を入手することに必死でしたね。
他にも、入試で点数の取りやすい科目を選ぶとかは普通のことだと思います。

ここで梅原さんがゲームに関して、面白い主張をしています。

「簡単で強いキャラで勝ち続ける」というやり方が、いかにくだらないと思われてたか。…難しいキャラは使ってる人も少ないから、対策もされにくい。一見効率は悪いけど、長期的には圧倒的に勝ちやすくなります。

これにはなるほどと思いました。
ゲームの世界では短期的には要領の良い人が勝つけど、長期的には勝てなくなるということですね。

スポンサードサーチ

ビジネスの世界に学校で学んだことは通用するのか

要領の良さが通用する場合、通用しない場合

ビジネスの世界に当てはめてみると、要領の良い人は短期的には成功するけど、長期的には成功しないということになります。

要領の良さが通用するのは、「評価基準」が明確で、かつ変化しない場合です

学校のテストで出る問題というのはだいたい一定で、なおかつ年によってそこまで変化しません。
過去問を利用すれば何を勉強すべきかわかります。

一方、ビジネスの世界は基準があいまいです。

リアルな世の中では「何が評価されるのか」「どうすれば評価されるのか」という基準が、明確にされていない

これを作れば売れる!という基準はないですし、ビジネスの環境は刻一刻と変化しますからね。
過去に売れたモノを作っても意味はありません。

どうやら、要領の良さが通用するのは特定の状況下の場合のみのようです。

大事なのはマーケット感覚

それでは、ビジネスの世界で重要なスキルとはなんでしょう。

「今この市場では何が求められているのか」、それを嗅ぎ取るスキルです。

それをちきりんさんは、「マーケット感覚」と呼んでいます。
» マーケット感覚を身につけよう

何が評価基準なのかを見つけるスキルと読み替えてもいいでしょう。

先程ゲームの世界では、簡単で強いキャラで勝つ続けてもくだらないと思われる、と書きました。
ゲームの世界で尊敬される基準は、「面白い勝ち方をするかどうか」らしいです。

結果は重要ですが、勝ちゃいいってもんじゃないんですね。

では学校の役割とは

プロゲーマーの役割

現在はプロゲーマーとして、メディアの出演や動画配信などもしている梅原さん。

プロゲーマーの仕事っていうのは、そのゲームの楽しい遊び方を発掘して、ファンの人にプレーを通してそれを伝えること

要領の良い勝ち方はファンがつかない。
面白い勝ち方をすると、ファンが喜ぶ。
そしてゲーム、eSportが盛り上がっていき、業界全体のレベルが上っていく。

「いかに面白い勝ち方をするか」が評価基準。
これを理解するのがマーケット感覚というわけですね。

学校の役割

ではこれを学校に置き換えてみるとどうなるか。

ウメハラ:学校の先生が「人生はこうやって過ごすとサイコーにおもしろいんだぜ」って自らの生き方をもって示してくれたら…。
ちきりん:学校、めっちゃ楽しそう!

なるほど、私にも思い当たるフシはあります。
ある時英語の先生が、始めて海外留学した時の体験談をおもしろおかしく話してくれました。
普段の授業では寝ている生徒も、その時だけは起きていたと思います笑

スポンサードサーチ

『悩みどころと逃げどころ』まとめ

  • 学校では要領の良さしか教えてくれない
  • 要領の良さだけでは、限られた場合にしか勝つことしかできない。
  • 評価基準を見極める。尊敬される、ファンがつく、面白いやり方をする。

いかがでしょうか。

これからは、「要領の良さ」だけを追求するのではなく、「面白いやり方」を追求してみてもよいかもしれません。