今、世界で最も注目すべき企業は?と聞かれたら、私は「amazon」と答える。

世界で注目のGAFA(ガーファ:Google、Apple、Facebook、Amazonの略)の中でも成長が著しい。amazonの株価は上場から1252倍に達している。10万円分株を買っていたとしても1億2520万円になっている計算だ。

amazonの経営戦略の重要ポイントの一つは「キャッシュフロー経営」であるが、具体的に何がすごいのか?なぜそれが可能なのか?を紐解く。

究極の攻めの経営

amazonのキャッシュフロー経営は、一言で言うと「攻め」の経営である。

まず第一に、amazonはあまり利益を出していない。そもそも上場してから永らく赤字続きであった。

2017年度のamazonの純利益は約30億ドル。対して、トヨタの2017年度の純利益は約249億ドル。トヨタのほうが8倍もの利益を叩き出しているのだが、なんと時価総額はamazonのほうがトヨタより3倍以上高い。

もちろん売上はあるのだが、そのお金がどこに消えてしまうかというと、投資に向けられている。事業拡大のための買収やテクノロジーを中心とした設備投資だ。

amazonが米大手スーパーのホールフーズを買収したことは記憶に新しいが、過去には靴の通販ザッポス、耳で聞く本オーディオブックのAudible、倉庫内ロボットのKiva Systemsなど多くの企業を買収している。また、amazonの事業は超多角化しており、独自のブランドや映像、音楽配信、クラウドサーバ事業、自前の物流用トレーラーなど数え切れない。

2014年度の話だが、実に税引前利益の90%ほどを投資に回している。(この年度は最終的にその他諸々のお金を払って赤字)要は投資しすぎて手元にお金がないという状態。これをもう何年も続けている。

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なぜそんなに攻められる?

実は「守り」が堅いことが「攻め」続けられる理由だ。

企業は黒字でもキャッシュが尽きれば倒産する。黒字倒産というやつだ。
売上は上がっているので黒字のはずが、企業活動ではお金が実際に振り込まれるのが後になるため、キャッシュが尽きてしまって倒産するケースである。

しかし、amazonは売上が上がってからキャッシュが入ってくるのが早い。というかリアルタイムで入ってくるものが多い。amazonでは商品が売れた瞬間、まずamazonにキャッシュが入り、その後出品者にキャッシュを渡す。出品者はキャッシュが入ってくるのにタイムラグがあるが、amazonはない。

こういったビジネスモデルの企業はもちろん他にもあるが、加えてamazonプライム会員のキャッシュが大きいだろう。会員制で前払いだ。

これだけ即お金が入ってくる仕組みが整っていれば、手元にキャッシュを残しておく必要はさほどない。これがamazonの「守り」である。

最後の秘訣は、CEOベゾスの胆力

精神論ではあるが、最後の極めつけは、CEOジェフ・ベゾスの胆力だろう。「攻め」の姿勢を貫くことは並大抵ではない。

amazonは1997年から上場企業なので、株主の目があるはずである。株主が嫌いなものは赤字で、好きなものは黒字と配当だ。

普通の経営者であれば、株主に配慮して利益を計上したり、配当を配ったりするだろう。株主総会で苦情を言われるのは気持ちのよいことではない。

でも、ベゾスにはそれがない。2000年頃のいわゆるドットコムバブルが弾けた時も攻めの投資スタンスを貫いているし、一切配当を配っていない。

案の定、株価は低迷を続けることにはなる。しかし、ベゾスは投資のスタンスを変えていない。自分のスタンスをとことん貫く。稀有な経営者と認めざるを得ない。

amazonに学ぶ「攻め」と「守り」のキャッシュフロー経営。

いかがだっただろうか。
あなたは経営者ではないかもしれないが、少しでも何かの参考になれば幸いである。

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