人工知能、AIがとにかくブームだ。
2014年、Googleは設立3年あまりの人工知能ベンチャー、ディープマインドをなんと4億ドルで買収。IT企業はこぞって巨額の投資を続け、IT以外の企業も人工知能を使っていることを積極的にアピールしている。

 

人工知能とは一体何なのか。本書は日本の人工知能の権威、松尾豊氏の代表作。人工知能を知るための入り口として手に取った方も多いだろう。
 

本書は人工知能の「歴史」を丁寧に紐解きながら、現在の人工知能ブームの正体は何なのかを示している。過去にも何度か人工知能ブームは存在したのだ。
 

ただ、わたしの感想としては、テクノロジーや統計のベースが全くない方にとっては少々難解だと思う。
もちろんじっくり読めばわかるだろうが、最初は簡単な統計の本から入ったほうがよいかもしれない。
参考:統計学が最強の学問である
 

さて、タイトルの通り、気になるのは人工知能の今後の行方だ。人工知能が発達すると、人間より賢くなり、ついには映画「ターミネーター」の世界のように人類が機械に征服される、というシナリオが現実になるのか。
 

松尾氏は否定的な立場だ。
その理由を以下のように端的に述べている。

「人間=知能+生命」

 

たとえ知能が人間を凌駕したとしても、人間はその生命活動、五感などを通して物事に触れ、行動を起こすことができる。
つまり「人工知能」と物質である「ロボット」がそれぞれ人間を凌駕し、かつその2つが完璧に連携するのであれば、本当に人類を越えられるのかもしれない。
しかし、それはこの10年や20年では実現しないだろう。
 

今回は松尾氏の回答を求める形になったが、それが本当に正しいのかは誰にもわからない。
ただ一つ言えることは、しくみを理解することが重要だということである。
現状の人工知能には得意も不得意もある。そこから未来を自分で予測するしかない。
 

人工知能を不必要に怖がる必要はない。
しかし、何も知らないことはそれだけでリスクである。